ヨガをはじめたのは良いけれど、普段自分のとっているポーズが正しいのかって分かりにくいですよね。
このインストラクターさんは「もっとこうしましょう」と言うけれど、違うインストラクターさんは「それでいいです」って言ったり言わなかったり…。
折角はじめたヨガのレッスン。基本の姿勢を知らないと正しく筋肉が使えないどころか、ケガを招く恐れもあります。
特に体の硬い人はなかなか正しく座りにくく、効果を感じにくいとも思います。
ダイエット目的でも、柔軟性が欲しくて始めた場合でも、なかなか効果が目に見えないとやる気もなくなってしまいますよね。
このページでは、元整形外科ナースであり、ヨガの全米アライアンスRYT200取得の私ノリンが、ヨガを効果的に行うために絶対に必要な、ヨガの基本姿勢の座位・立位・四つ這いについて解説していきます。
- ヨガをはじめたばかりの人
- ヨガの基本姿勢を知りたい人
- 体が硬くて上手に座れない人
- ダイエット目的や体を柔らかくしたくてヨガを始めた人
- ヨガの効果をもっと高めたい人
- ヨガの基本は「骨盤を立てること」と「背筋を伸ばすこと」
- 座位は座骨で床を押して胸を広げる
- 立位は足裏3点で床をとらえて、つま先と膝は正面にむける。
- 四つ這いは手足の4点を整えることが大切。腕で支えずにわきの下の筋肉を意識する。
- 体が硬くて座りにくい人はヨガブロックやタオルをお尻の下に敷くと良い
\ 基本だけでも教えてもらおう/
共通点1「骨盤をたてる」こと
「骨盤」は腰やお尻周りの骨の集合骨のこと
反り腰でたまに腰が痛いんだよね
腰はまっすぐに立てるんだよ
「骨盤」は腰やお腹やお尻周りの大きな骨のことです。
腰骨やお尻の骨までの一連の骨のことを指します。
解剖学的に言うと「寛骨(かんこつ)」「仙骨(せんこつ)」「尾骨(びこつ)」の3つの骨から成り立ってる、ちょうちょのような形をした部分です。
「骨盤のねじれ」という言葉を聞いたことがある人は多いと思いますが、何かしらの先天異常や病気ではないかぎり、骨盤の骨そのものがねじれることはありません。
よく言われている「骨盤のねじれ」は、普段の生活の癖で周囲の筋肉の付き方のバランスが悪くなってる状態を指しています。
骨盤の前傾と後傾
よく見られるのが、骨盤の前傾(反り腰)や後傾(猫背)です。
骨盤の前傾は女性に多く、いわゆる「反り腰さん」。
腰がくびれているようにも見えますが、腰痛がある場合も多く認められます。
仰向けで寝て、床と腰の間に手のひら1枚分以上の隙間があるときは「反り腰さん」と言われていますので、良かったらチェックしてみてくださいね。
骨盤の後傾は男性や老人に多く、骨盤が後ろに傾くために背中が丸まる「猫背さん」。
肩こりがお悩みになってる場合が多いです。
どちらのタイプも腹筋や背筋などの筋肉のバランスの悪さの現れです。
骨盤の傾きやねじれ
見た目ではよく分からないのが、骨盤の傾きやねじれです。
腰骨を触ると高さが違っていたり(傾き)、斜めになっていたり(ねじれ)します。
腰回りだけではなく、下半身の筋肉の付き方のバランスが悪いとなるとも言われています。
骨盤はまっすぐ立てる
骨盤がまっすぐになってないと、使いたい筋肉が使えません。
なので、前に倒れたり、後ろに倒れたり、左右の高さが違ったりしないようにしましょう。
腹筋や背筋が弱いと、ずっと骨盤を立てているのは大変です。
しかし、少しずつでも取り組めば、だんだんと体も整ってきます。
体が硬い人は、ブロックやタオルをお尻に入れる
人によっては、股関節が硬かったり、筋肉のバランスの崩れがあったりすると、まっすぐに腰を立てることが出来ないと思います。
中にはあぐらそのものが全く出来ない人もいると思います。
その場合に有効なのが「お尻の下に何かを入れこと」です。
お尻の位置を高くすることで、突っ張っている腰の筋肉や、お尻や下半身の筋肉が緩んで、座りやすくなります。
ヨガスタジオだとヨガブロックを用意してある場合が多いと思います。
しかし、LAVAではスタジオ内や前室にヨガブロックがあっても、特にすすめてくれることはないですし、使ってる人もあまりいないのでなんとなく使いにくいと思います。
(ちなみに、もしブロックを使ってる人がいたら、ちゃんとヨガを学んでいる人だと思って間違いはないです)
そんな中で個人的に推奨しているのが「バスタオル」の利用。
LAVAのキャンペーンで入会すると、多くの場合ははじめは無料でレンタルのバスタオルがついてくると思います。
多くの人はシャワーの後に使うと思いますが、バスタオルをスタジオに持って行って、ブロックの代わりのお尻の下に敷くととても安定します。
私もスタジオには常にバスタオルを持ち込んでいますし、お尻の下に敷いたり、枕代わりに使ったり、シャヴァーサナの時には布団代わりにかけたりしています。
共通点2「背筋をまっすぐに伸ばす」こと
背筋を伸ばすのはヨガの超基本だよ
ヨガをしている人は姿勢が良いイメージがあると思います。
私もヨガをしはじめて数年経過しますが、姿勢を見ると「この人はヨガをしてるのかな?」と思うこともしばしば。
それは、ヨガは常に背筋を伸ばしながら体を動かすことが多く、自然と姿勢が良くなるからです。
しばらくヨガを続けていると、猫背や反り腰も改善してきます。
それと共によく聞くのが「身長が1センチ伸びた」という声。
事実私もヨガをするようになってから、1センチほど身長が伸びています。
骨盤の位置を整えたら、そこからまっすぐ天井に向かって背筋を伸ばすようにしましょう。
よくある間違いが「背筋を反らしてしまう」こと。
「反らす」ではなくて「伸ばす」気持ちで、お腹、背中、胸の筋肉に意識を向けて、少しだけ身長を高くするイメージで背筋を伸ばしてください。
また、よく言われるのが「背中の骨をひとつずつ積み上げる」という表現。
ヨガでは、体の筋肉や骨格を中心に見ることも多く、骨や筋肉に意識を向けるように言われることも多いです。
イメージとしては「見えない糸で引っ張られる」と表現されることも多いです。
【座位】お尻のふたつの骨で床を押す
座骨で床をとらえる
座るときはもちろん「おしりで」座るよね
座るときはお尻のふたつの骨・座骨を意識して座るんだよ
座り方はあぐらや正座、膝を立てた座り方なともありますが、全て基本は一緒です。
座ってるポーズの基本は、お尻の二つの骨(座骨)をしっかりと床につけて体を安定させます。
下のイラストでいうと、とんがっている二つの骨が「座骨」です。
レッスンではじめて座るときに「お尻のお肉をかきだして、お尻の二つの骨(座骨)で座りましょう」と促されると思います。
しかし個人的には、たくさんある’お尻’のお肉を外に出しただけでは座骨を感じにくいと思うので、’太もも’のお肉からかきだして欲しいです。
是非以下の方法で座骨を感じてください。
- あぐらで座る
- 手のひらを上に向けて、外側から太ももの下に手を入れて、太もものお肉を外にかきだす
- 手のひらを上に向けて、お尻の下に手をいれて、お尻のお肉を外にかきだす
- 手のひらを上に向けて、お尻の下に手を入れて、骨がどこにあるのかを確認する
- 正座で座る
- 手のひらを上に向けて、少しお尻を持ち上げて、後ろ側から太ももの内側~会陰部のあたりに手を入れて、太もものお肉を外にかきだす(パンツのラインをなぞる感じ)
- 手のひらを上に向けて、少しお尻を持ち上げて、後ろ側からお尻の下に手をいれて、お尻のお肉を外にかきだす(お尻のお肉を背中側に流すイメージ)
- 手のひらを上に向けて、お尻の下に手を入れて、骨がどこにあるのかを確認する
- 腰を立てて座ると、足の裏で座骨を感じる場合が多い
骨盤はまっすぐ立てる
お腹や背中の筋肉を使って、しっかりと骨盤を起こしていきましょう。
正しい姿勢をとることで、より効果的に体を使うことが出来ます。
体が硬くて腰が立ちにくい人には、ヨガブロックやバスタオルを折りたたんでお尻の下に入れると座りやすくなります。
胸をひろげる
座るってだけでも難しいね
肩をひらいて胸を広げると安定するよ
もともとの姿勢が前傾になっている「反り腰さん」や後傾になっている「猫背さん」は肩の位置も少しずれている場合が多いです。
肩や胸の骨の中には、呼吸するのに大切な肺が入っています。
胸を反りすぎず、肩が内に入りすぎず、丁度良く胸をひらきます。
【立位】立つときは、足のうら3点で床をとらえる
足うら3点
裸足で立ってみると不安定なのを感じるよ
かかと、親指の付け根、小指の付け根を意識してね
足の裏を触ってみると、親指の付け根にごつごつっとした丸い形の骨があると思います。
それが「母指球(ぼしきゅう)」です。
小指の付け根にも同じような骨があり「小指球(しょうしきゅう)」と言います。
少し小さいので分かりにくいですが探してみてください。
立つときには、①かかと ②母指球(ぼしきゅう) ③小指球(しょうしきゅう)の順番にマットに根付かせていきます。
足の指は大きくひらいて、ひらいたままマットに置きます。
「なんか足の裏が安定しないな~」って時には、この一連の動作を数回行ってみてくださいね。
つま先と膝の向きは一緒
ついうっかり内股ぎみになっちゃうんだけど、いいのかな?
つま先と膝は同じ方向・まっすぐ前を向けてね
ヨガ初心者の人で多く見かけるのが、つま先とかかとの向きが合ってない人です。
基本姿勢ではつま先と膝は前向きに揃えます。
男性で多いのが「ガニ股」
女性で多いのが「内また」
使いたい筋肉がちゃんと使えずに「ポーズが上手にとれない」という悩みにつながりますので、つま先と膝の向きは前向きにそろえるように、心がけてくださいね。
X脚やO脚の人もいると思いますが、ヨガをしているうちに次第に筋肉が整ってくるので、焦らずに取り組んでいって欲しいと思います。
内またに力を入れて引き寄せる
足にも力を入れた方が良いのかな?
両方の足を引き寄せる気持ちで筋肉に意識を向けてね
足の裏や膝の向きを整えたら、次は下半身の大きな筋肉に目を向けてください。
ふくらはぎは引き締めて、上にあげる意識。
太ももには軽く力を入れて両方の太ももを引き合わせる。
お尻にも意識を向けて、キュッと引き寄せてみてください。
そうすることで、両方の脚を強く使うことが出来るようになります。
骨盤は前後傾しない
背筋を伸ばそうとすると腰がそれちゃう
反り腰さんはお尻の穴を床に向けるかんじ。
猫背さんは背中に力を入れて胸を持ち上げるかんじ。
骨盤が前に傾く「反り腰さん」はお腹の筋肉が不足している場合が多いです。
お腹に軽く力を入れて、お尻の穴は床に向けるようにすることで、骨盤が正常な位置に戻ってきます。
はじめは腰が丸くなってる気がすると思いますので、鏡で自分で見てチェックするようにしてくださいね。
骨盤が後ろに倒れている「猫背さん」は、骨盤が倒れることで胸が閉じてしまってる場合が多いです。
骨盤から治していきたいところですが、急に骨盤を動かすのは難しいです。
まずは背中に力をいれて、肩を広げ、胸を上に引き上げるように意識してみてください。
そして、少しだけ腰を反らすイメージ。
そうすることで、次第に骨盤が安定してくると思います。
胸を広げて、耳・肩・かかとは一直線
背筋を伸ばそうとすると、胸が反れちゃってる気がする
肩を前からくるっと回して、耳のラインに肩を置くイメージだよ
背筋を伸ばして立とうとすると、つい背中を反らしてしまう場合が多いです。
その場合は、顎先がやや上に向いています。
人によってはお腹が出っ張ってしまっている人もいることでしょう。
しっかりと伸ばそうとする意識は素晴らしいですが、背中が反れると腰痛の原因にもなりますし、正しく筋肉が使えなくなるので注意が必要です。
大切なのは「胸を広げる」こと。
デスクワークなどの人はどうしても肩回りが硬くなってしまっていて、背中が丸くなってしまう人が多いですよね。
そんな場合は、肩を前からクルンと大きく回して、ストーンと腕を体の横に伸ばします。
そうすることで少し胸を広げることが出来ます。
肩や腕の位置の目安は、耳の下に肩があること。
そして肩・耳・かかとが一直線上にあることです。
顔はまっすぐに前を向いて、頭の上から、足の裏まで意識を巡らせて、しっかりと全身を使って立つようにしましょう。
【四つ這い】肩の下に手首、股関節の下に膝
意外としんどいのが四つ這いのポーズ。
大人になるとなかなかこんなポーズをしないですもんね。
四つ這いは手足の4点が基点となるポーズ。
手足の位置や肘の向きなど、正しく行わないと手首や肘、もしくは肩なども傷めやすいポーズでもあります。
私自身も、左ひじは幼少期のケガで変形していますし、右ひじは生まれついての猿手なので何度かケガをしています。
また、手首にも負担がかかるので、筋力のないうちは手首も数回傷めてしまいステロイドの注射をしたこともあります。
折角ヨガを楽しんでいるのに、ケガをしてしまっては悲しいですよね。
ポーズを正しくとって、安全にヨガを楽しんで欲しいです。
肩の下に手首、股関節の下に膝
手足の位置がよく分からないよ
肩の下に手首、股関節の下に膝が来る位置だよ
手足の位置は、肩の真下に手首、股関節の真下に膝が来る位置です。
股関節は直角に曲がる位置を目指しましょう。
筋力があまりにない場合は、少し手足の幅を大きめにとると安定しやすいです。
その場合はご自身が安定して行える位置を選択してくださいね。
手のひらは大きくひらく
手首が痛くなりやすいんだけど、何かポイントあるのかな?
手は大きくパーにしてふわっと床に置くよ。
中指はまっすぐ前向きね
私もそうでしたが、筋力のないうちは手首に体重が乗りやすく、そのために傷めやすくもあります。
支点になる手は出来るだけ大きく広げてくださいね。
手は大きくパーにして、中指は前向き。
手首も力を入れすぎずふんわりと保つようにしてください。
膝と膝の間はこぶし1~2個分
足の幅って難しくてよく分からないんだよね
股関節からまっすぐに太ももを下ろすと、膝の間にこぶし1~2個分になるよ
その時その時のポーズにもよりますが、ヨガのポーズでは多くの場合が「腰幅」です。
「骨盤幅」とも表現されることが多いです。
股関節からまっすぐ下におろしたところに、基点となる足や膝が来るようにします。
四つ這いになると鏡も見れませんから、こぶしが1~2個入る幅がおおむね「腰幅」「骨盤幅」だと言われています。
しかし筋力がなく四つ這いが安定しない場合は、少し足幅を広げて、土台となる下半身を安定させてください。
肘はふんわり内向き
四つ這いになると肘に力が入っちゃうんだよね
肘がピーンと伸びてると危ないから、軽く曲げると良いよ
四つ這いのポーズでとても危ないのが肘の「過伸展」です。
「過伸展」とは、本来の伸ばすべき角度以上に関節が伸びてしまい、骨折などのリスクの高い状態のことです。
慣れないうちはどうしても「腕だけで」支えようとしてしまうので、肘がピーン!と伸びきってしまっている人がとても多いのを見かけます。
過伸展の予防には、肘はふんわりと緩めて内向きにして、肘のしわとしわを向かい合わせにします。
軽く肘を少しだけ曲げるイメージです。
脇の下で床を押す
肘を曲げちゃったら、体が支えれなくないの?
わきの下の筋肉で床をぐーっと押すイメージ。
肘や腕は支えるだけね
四つ這いの姿勢で使う筋肉は、肩~肘の筋肉と、わきの下~背中の筋肉が中心となります。
気持ちとしては、わきの下に力を入れるイメージです。
少し肘を曲げて、ぐぐぐ~!とわきの下あたりの筋肉で床を押してくださいね。
背中は頭までまっすぐ
四つ這いになると、つい頭が下がっちゃうんだよね
頭からお尻まではまっすぐだよ
ついうっかりしてしまうのが「頭が下がってしまう」こと。
頭は重たいので、ついつい下がってしまうことが多いです。
しかし、立っているときも、頭をだらーんと下げたりはしませんよね。
四つ這いの時も同じく、頭からお尻まではまっすぐに伸ばします。
目線は少し前の床を自然に見る感じにすると、呼吸もしやすくポーズも安定してきます。
まとめ
ノリンちゃん、ありがとう。
基本のポーズを整えてヨガをもっと楽しむね
基本はケガ防止の為にもとても大切だからね。
じゃあこのページの内容をまとめていくね
- ヨガの基本ポーズの共通点は「骨盤をたてる」「背筋を伸ばす」こと
- 座位はお尻のふたつの骨の座骨で床を押して、しっかりと天井に伸びる
- 立位は足裏3点で床をとらえて、2本の脚は寄せ合う。肩の位置は耳のライン
- 四つ這いは肩の下に手首・股関節の下に膝。肘の過伸展に注意する。
- 体が硬くて座りにくい人はブロックやタオルをお尻の下に入れる
参考文献
ビジュアル版 筋肉と関節のしくみがわかる辞典 竹井仁著 株式会社西東社出版
ヨガポーズパーフェクトバイブル Makoto著 株式会社ナツメ社出版
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